「香港」への道は遠い【広東語勉強日記 ep1】

語学に必要なものは、愛とお金です。

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』を初めて見て、信一にハマった1月20日。その1週間後、気づいた頃にはとある中国語教室に10万そこそこの支払いが完了していた。

厳密には支払い完了した10万そこそこに普通話の授業料も含まれるのだが、正直なところ普通話の勉強だけだったらここまで行動していなかったと思う。愛は盲目。私がATMなのではなく、推しが賽銭箱なのだ。

目次

「一、二、四、九、十」だけ知ってる人

昔、成り行きで香港人から広東語を2時間くらい教わったことがあった。その時も中国語(國語)は勉強していたから、「広東語もいけるっしょ♪」くらいの軽い気持ちで行ったら、声調と発音の難しさに心折れてあっさりと挫折した。

だから、私にとって今回は「広東語リベンジマッチ」と言ってもいい。私だって同じ相手に二度負けたくないし、王九に二度負けるような四少ではない。

そんなこんなで授業の冒頭、「とりあえず一から十まで言えるようにしよか~」と始まったとき、私は内心「勝った」と思っていた。

だって、一から十のうち、すでに半分は知ってるもん!

一から十まで数えてみよう

~発音練習の様子~

老師「ヤッ」
我「ヤッ♪(信一の一だ♪)」

老師「イー」
我「イー♪(十二少かわいいよね♪)」

老師「サーム」
我「サーム(なるほど三は伸ばすのね?)」

老師「セィ~」
我「セィ~(四仔の沼は深いよなあ~)」

老師「ンー」
我「……え?」

老師「五。ンー」

……んんん~~?!?( ,,`・ω・´)ンンン?!?!?

やられるならせめて王「九」まで到達してくれわたくし。
てか、しりとり絶対負けないじゃん。

……ンー( ,,`・ω・´)ンンン?の衝撃を乗り越えたあとは、六、七、八、九、十と順調に来て、一応は1~10まで広東語で言えるようになった(はず)。

しかし「ンー」という発音が成立する広東語はつくづく不思議だな~と思っていたのだが、はたと思い出した。

「あれ? 同じようなことを前にも思ったことがあるぞ……」

ちょ……おま……王九!!

フィリップ・ン!!!

五と伍で漢字は違うけど、トワイライト・ウォーリアーズで気功ギャルこと王九を見事に演じていた伍允龍さんの名字は「ン」さん。彼の名前を初めて見たときも、やっぱり「発音が難しそうな名前だな……」と思っていたのであった。

広東語の発音を調べるサイト

スクロールできます
yat¹ji⁶saam¹sei³ng⁵luk⁶cat¹baat³gau²sap⁶
ヤッイーサームセィーンーロッチャッバーッガウーサップ

というわけで、広東語の1~10の発音は上の図のようになる。カタカナ表記は私のオリジナルなので、あくまで参考程度にご覧いただきたい。

表の中段が広東語の「讀音(ピンイン的なもの)」なのだが、これを調べられるサイトを授業で教えてもらったので、みなさんにもシェアさせてもらう。

粵語資料集叢」というサイトで、検索窓に調べたい漢字や単語を入れると、次のように出てくる。

例えば「龍捲風」(竜巻)。表示は1文字ずつだが、単語や文で検索すると画面の上の方で漢字を切り替えることができるので、効率的で気に入っている。

オレンジ色の[lung4]という部分をクリック(タップ)すると、実際に発音している音声を聞くことができるので、とても便利だ。また、1~6声それぞれの発音が収録されているので、声調の違いを聞き分けたいときにも使える。

一筋縄ではいかない広東語の発音

しかし正直なところ、広東語の数字でガタガタ騒いでいる場合ではない。広東語にはあいつがいる。

声! 調!

何だか声調のニュアンス感がすごい

声調とは何ぞやというと、無理やり日本語から同じ概念を探すなら「イントネーション」に近いものだと思う。

例えば日本語なら「雨」と「飴」、「箸」と「橋」とかは、どこを高く読むかで漢字の意味が変わる。日本語のイントネーションはそこまで厳密ではないが、中国語の場合は漢字の読み方+音の高低(=声調)がセットで「その漢字の読み方」ということになっている。

私は大学時代に普通話を勉強した人間だが、先の広東語勉強日記でも書いたとおり、普通話の知識は広東語を勉強するうえで非常に役に立っている。でも、こと声調に関しては微妙だ。

端的に言うと、広東語の声調は普通話より2種類多い。普通話は4声(4種類)だが、広東語は6声(6種類)だ。

これは普通話の声調。よく見るやつ

広東語の声調に初めて触れたとき思ったのは、音の高低については普通話の4声で網羅されている気がするので、それプラスαとなると「え、そこにまだバリエーションいける?!」となってしまうということ。

アイドルグループに例えて言うと(アイドルグループに例えて言うと?)各自のメンカラを決めるときに、7人までのグループなら虹の7色でちょうどいい感じに割り振ることができると思うが、9人とか10人になってくると「あと2人……どうしよっ、か……?」みたいな話になる(のか?)。

(そうすると青と水色、緑と黄緑みたいな中間色を使ったり、黒と白のようなペンラを製作するときにちょっと悩ましい無彩色のメンカラが発生したりする)

まあメンカラの話はどうでもいいんだけども(おい)とにかく普通話の4声+2声となると、何とも曖昧な、ニュアンスっぽい声調だな~と思ってしまうのだ。

ただ、自分で6声を練習しながら思ったことがある。

その発想が!!
広東語の習得を邪魔しているんだよ!!!

普通話と比べるから「ニュアンスっぽい~」などど思うのである。

広東語が6声と言ったら、それは6声なのだ。4声+2声じゃなくて、広東語の世界では最初から6声なんだよ!

そういう気持ちで声調の練習をしていくと、何となくだけど音の違いが聞こえてくる。

手作り楽譜なので全然厳密じゃなくてすみません

中国語の声調をわざわざ楽譜で示すのは大袈裟なのだが、私にはこんな風に聞こえている。2声は楽譜よりもう少し低いところから上げてくイメージ。あと、1声・3声・6声は頑張ればたぶんハモれる。

それでも3声・4声・6声とか、2声・5声の違いは難しい(もう1声以外全部じゃん)。

ただ、話すときは漢字1文字ずつ読むことって多分あまりなく、基本的に単語だったり文だったりするから、そういうまとまりで練習していくのが大事なのでは、と思っている。

難しいのは声調だけじゃなかった

ここで1つ悲しいお知らせ。個人的に、声調より難しいと感じている発音がある。それが、

香! 港!

何なら広東語で一番言いたいやーつ。ただいま絶賛片思い中。

細かく言うと、香港の「港」は多分いけてます、わたくし。問題は香港の「香」の字だ。

香港。英語で書くと「Hong Kong」だが、この表記は広東語の発音とはちょっと違う。

先ほど紹介した広東語ウェブ辞書で「香港」をひくと、[hoeng¹ gong²] という讀音が出てくる。

「港」の方は、アルファベットをわりとそのまま読めば良い。2声なので、少し低いところから重力に負けないように音を持ち上げて「ゴーン⤴」と読むといい感じだ。

..HOENG.

oe(オエ)という母音は、「オ」の口で「エ」と発音するイメージらしいのだが、私がやると「オ」っぽくなるか「エ」っぽくなるか、どちらかに寄ってしまう。

でも、広東語の母音には [ong(オーン)]も、[eng(エーン)]も存在するので、[oeng]は[oeng]と発音しなければならない。

「香港」への道は遠くても

それでも私は、この発音がけっこう好きだ。「o(オ)」のようで「o(オ)」ではない、「e(エ)」のようでいて「e(エ)」でもない、どっちつかずの感じがなんか良い。何かと何かが混じり合っている雰囲気が、どことなく香港っぽくて好きなのだ。

1回目の授業、2時間弱かけてやっとこさ発音と声調を教えてもらって「香港」すら発音できないのはやっぱりちょっと悲しい。ただ、これから長い付き合いになると思うので、まあ焦ることはないかなとも思う。少しずつ香港に近づいていければ、それでいい。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんばんは。楽しみに待っていたレッスンのお話、ありがとうございます大変ですめちゃくちゃ面白い…!フィリップ・ンさんの名前や声調のこと激しくうなずきながら読みました…「香港」の発音て難しいんですね〜。でもとても楽しそうなのが伝わってきました、私も頑張って勉強します!

    • 今回もコメントありがとうございます!
      面白く読んでいただけて嬉しいです♡
      楽しさ第一で続けていきましょうね~!

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